はじめに
「昨日まで普通に使えていたkintoneのMCPサーバーが、今日になったら急につながらない」
先日、まさにこの接続エラーに遭いました。設定は何も触っていないのに、ある日突然つながらなくなる。心当たりがないので、どこから調べればいいのかも分からない。かなり困りました。
結論から言うと、公式のkintone MCPサーバー v1.9.2 でスキーマまわりの修正が入っており、最新版に入れ替えたら解決しました。
この記事では、何が起きていたのか、なぜ設定を触っていないのに壊れたのか、そして同じ状況になったときにどう確認すればいいかを整理します。MCPサーバーを使い始めたばかりの方でも追えるように、前提から順に書いていきますね。
起きたことの時系列
まず、何が起きたのかを時系列で並べてみます。
- 2026年7月中旬 — kintone MCPサーバー(当時の最新 v1.8.2)を、公式リリースの
.mcpbファイルから導入。問題なく動作 - 2026年8月19日 — v1.9.2 がリリースされる
- 2026年8月20日 — MCPサーバーが接続エラーになっていることに気づく
- その後 — いったんアンインストールし、最新版を入れ直したところ復旧
設定ファイルもkintone側の設定も、この間まったく触っていません。自分は何もしていないのに壊れた、という状況でした。
原因:v1.9.2 の「JSON Schema 2020-12」対応
公式リポジトリのリリースノートを確認したところ、v1.9.2(2026年8月19日リリース)に、たった1行だけBug Fixが入っていました。
advertise tool schemas as JSON Schema 2020-12(#549)
日本語にすると「ツールのスキーマを、JSON Schema 2020-12として宣言するようにした」という修正です。
タイミングも内容も、今回の症状と噛み合っています。
そもそも「JSON Schema 2020-12」って何?
ここ、初めて見ると何のことか分かりませんよね。順に説明します。
JSON Schema は、「このJSONはこういう形をしていますよ」を定義するための仕様です。たとえば「appId は数値で必須」「fields は文字列の配列」といったルールを、機械が読める形で書けます。
そしてMCP(Model Context Protocol)では、サーバーが提供する「ツール」の入力仕様をJSON Schemaで書きます。AI側はこのスキーマを読んで、「このツールはどんな引数を受け取るのか」を理解するわけです。
ここが今回のポイントなのですが、JSON Schemaには複数のバージョン(draft)があります。
- draft-07
- 2019-09
- 2020-12
そして「自分はどのバージョンに従って書いているか」を、$schema というキーワードで宣言する決まりになっています。宣言がなかったり、実際の書き方と宣言がズレていたりすると、受け取る側がスキーマを解釈できず、弾いてしまうことがあります。
v1.9.2の修正は、まさにこの「宣言」の部分を正したものでした。
なぜ設定を触っていないのに壊れたのか
ここが一番不思議だったところです。私はv1.8.2を入れたまま、何も変更していませんでした。サーバー側が変わっていないなら、壊れる理由がないはずです。
しかも私の入れ方は、Claude Desktopの拡張機能パッケージ(.mcpb ファイル)をインストールする方式でした。この方式は自動では更新されません。入れた時点のバージョンで止まったままになります。つまり、放っておけば確実に古くなっていく入れ方だったわけです。
考えられるのは、クライアント側(AI側)が変わったというパターンです。
MCPは、サーバーとクライアントの両方がいて初めて成立します。片方がバージョンアップして、スキーマの扱いが厳しくなれば、古いままのサーバーが弾かれるようになる。これは十分にあり得ます。
そして、それを裏付けるようにサーバー側でも8月19日に「スキーマを2020-12として宣言する」修正が入った。つまり、
- クライアント側がスキーマの扱いを厳格化した
- 古いサーバー(v1.8.2)の宣言のしかたでは通らなくなった
- サーバー側に修正が入った(v1.9.2)
- 最新版に入れ替えたら解決した
という流れだったと考えると、時系列にきれいに収まります。
※ここは推測です。 私はエラーログを保存しておらず、「再インストールしたこと自体(設定の作り直しやキャッシュのクリア)」が効いた可能性を完全には否定できません。ただ、リリースノートの内容と発生時期が一致しているため、可能性は高いと考えています。
対処法:最新の .mcpb を入れ直す
やることはシンプルです。公式リリースから最新の .mcpb ファイルをダウンロードして、入れ直すだけです。私はこれで復旧しました。
その前に、いま入っているバージョンと、公開されている最新版を突き合わせてみてください。ここに差があれば、原因はほぼそこです。
最新版は kintone/mcp-server のリリース一覧 を開けば分かります。この記事を書いている時点では 1.9.3 でした。
正直に書くと、私はこの突き合わせを自分でやっていません。AIに「入れているバージョンと最新版を確認して」と頼んだところ、差があることを指摘してくれて、そこで初めて気づきました。「自分の環境が古い」という発想がそもそも出てこなかったので、これがなければもっと遠回りしていたと思います。
入れ直す手順は次のとおりです。
- kintone/mcp-server のリリース一覧 を開き、最新リリースの Assets から
kintone-mcp-server.mcpbをダウンロードする - Claude Desktopの設定を開く(Macはメニューバーの「Claude」→「設定」、Windowsは左上の ☰ →「ファイル」→「設定」)
- 「デスクトップアプリ」→「拡張機能」の画面に進み、ダウンロードした
.mcpbをドラッグ&ドロップする - 確認ダイアログが出たら「インストール」を選ぶ
- 設定ダイアログでkintoneのベースURL・ユーザー名・パスワード(またはAPIトークン)を入力し、トグルを有効にする
公式のクイックスタートには、初回インストール時にドラッグ&ドロップが反応しないことがあると注意書きがあります。その場合は「拡張機能」画面の「詳細設定」→「拡張機能をインストール」からファイルを選べばインストールできます。
入れ直したあとは、Claude Desktopを完全に終了してから再起動してください(メニューの「Claude」→「再起動」でも大丈夫です)。MCPサーバーは起動時に読み込まれるので、再起動しないと古いものが残ったままになります。
再起動したら、チャット入力欄の +アイコン →「コネクタ」に「Kintone MCP Server」が表示されているか確認します。ここに出ていれば接続は戻っています。
インストール手順そのものは、サイボウズ公式の kintone MCPサーバーのクイックスタート にスクリーンショット付きでまとまっています。はじめて入れる方は、こちらを見ながら進めるのが確実です。
なお、npxやDockerでMCPサーバーを動かしている場合は、設定ファイルでバージョンを固定していないか確認してください。固定しているなら、新しいバージョンに書き換えます。
次に同じことが起きたら:直す前にログを残す
今回、私はいちばん大事な証拠を取り損ねました。ログを見る前に、直してしまったんです。この記事の原因分析が「推測」で止まっているのは、そのせいです。
正直に書いておくと、私はこのときのログを確認していません。エラーが出たのが普段の作業環境とは別のパソコンだったこともあり、手元には何も残っていません。ですので「ログはここにある」と、自分の目で確かめた話としては書けません。
調べた範囲では、Claude DesktopはMCPサーバーまわりのログをファイルに出力しているようで、macOSであればユーザーのライブラリフォルダの中の Logs/Claude/ あたりに置かれます(Finderのメニューから「移動」→「フォルダへ移動」を選び、~/Library/Logs/Claude/ と入力すると開けます)。ただし、ファイル名も置き場所もアプリのバージョンによって変わり得ます。見つからないときは、アプリの設定画面や公式ドキュメントを当たってください。
そのうえで、これだけは書いておきたいです。動かないものを直す前に、ログをコピーして残しておく。やること自体は1分で終わります。今回それをやっていれば、この記事はもっと確かなことを書けていました。
今回の教訓:MCPサーバーは「入れて終わり」にできない
今回いちばん学んだのは、これです。
MCPサーバーは、入れたら終わりのツールではありません。
普通のライブラリなら、バージョンを固定しておけば動き続けます。でもMCPはサーバーとクライアントが会話する仕組みなので、片方だけ止まっていると、いつか噛み合わなくなります。相手が変わり続けるからです。
自分の環境を何も触っていなくても壊れる。この前提を知っているかどうかで、トラブルが起きたときの初動がまったく変わります。「自分の設定を疑う」の前に、「そういえば最近アップデートがあったのでは?」とリリースノートを見に行けるようになります。
実際、今回もリリースノートの1行で原因の見当がつきました。
- 定期的にリリースノートを見る
- 動かなくなったら、まず入っているバージョンと最新版を突き合わせる
- 次にリリース履歴と、動かなくなった日付を突き合わせる
- 直す前にログを保存する
この3つだけでも、次からだいぶ楽になるはずです。
まとめ
- kintone MCPサーバー v1.9.2(2026年8月19日) で「ツールのスキーマをJSON Schema 2020-12として宣言する」修正が入った
- 設定を触っていなくても、クライアント側の変更で古いサーバーが弾かれることがある
- 対処法は最新の
.mcpbをダウンロードして入れ直すこと。入れ直したらClaude Desktopを完全に再起動する - トラブルが起きたら、直す前にログを保存する(今回いちばんの反省点です)
- MCPサーバーは相手のあるツール。バージョンを放置しない
同じ接続エラーの症状で困っている方の助けになれば嬉しいです。
私はふだん、製造業で働きながらkintoneでの業務改善アプリづくりと、WordPressを中心としたWeb制作をしています。実際に手を動かして詰まったこと・解決できたことを、このブログに書き留めています。制作事例はポートフォリオにまとめていますので、よければのぞいてみてください。

