はじめに
ピカピカの新しいMac、ワクワクしますよね! ですが、そのワクワクと同時に、ちょっと憂鬱な作業が待っていませんか?
そう、「開発環境の再構築」です。
「前のMacで使ってたツール、何だっけ?」 「また brew install git、brew install node、brew install --cask google-chrome… って全部手打ちするのか…」 「インストールの漏れがありそうで怖い…」
そんな、面倒で時間のかかる「お引越し」作業。 実は、Homebrewのbrew bundleという機能を使えば、その悩みを一気に解決できます。
brew bundle を使うと、今あるHomebrew環境(CUIツールもGUIアプリも全部!)を、たった一つの設定ファイルに丸ごとバックアップできます。
そして新しいMacでは、そのファイルを元に一括でインストール(復元)が可能です。
この記事では、brew bundle を使った簡単・安心なHomebrew環境のバックアップ&復元手順を、ステップ・バイ・ステップで解説します。
brew bundle とは?「Brewfile」がお引越しの鍵
brew bundle は、Homebrewに標準で備わっている「追加機能(サブコマンド)」の一つです。
そして、brew bundle が使うのが Brewfile(ブリューファイル) という名前のファイルです。
Brewfile = インストール内容
この Brewfile とは、一言でいえば「今Homebrewで何がインストールされているか」を記録したリストです。
お引越しに例えるなら、「新しい家に持っていくものリスト」や「新しい家で買い揃えるものリスト」のようなものだと思ってください。
このリスト(Brewfile)が非常に優れているのは、以下の情報をすべてまとめて記録できる点です。
brewgitやnodeといった、ターミナルで使うツール(CUIツール)
cask- Google ChromeやVSCode、Slackなど、アイコンがあってクリックして使うアプリ(GUIアプリ)
tap- Homebrew公式以外の配布元リポジトリ(もし追加していれば)
つまり、Brewfile さえあれば、あなたがHomebrewで管理しているツールやアプリのほぼ全てを再現できる、最強の「お買い物リスト」になるわけです。
次のステップで、まずはこの「リスト」を今のMacから作ってみましょう!
今の環境をバックアップする (brew bundle dump)
まず、今あなたが使っているMacに「何が入っているか」を Brewfile というリストに書き出しましょう。
この作業を、Homebrewの世界では dump(ダンプ=中身を吐き出す) と呼びます。
実行するコマンド
ターミナルを開き、Brewfile を保存したい場所(例えばデスクトップなど、分かりやすい場所)に cd コマンドで移動してから、以下のコマンドを実行してください。
# 例: デスクトップに Brewfile を作りたい場合
$ cd desktop
$ brew bundle dump
たったこれだけです!
実行すると、brew bundle dump はあなたが今 brew や brew cask でインストールしているパッケージを自動でスキャンし、Brewfile という名前のファイルを実行した場所(この例だとデスクトップ)に作成してくれます。
Brewfile の中身を見てみよう
実際に作成された Brewfile をテキストエディタで開いてみると、こんな風に書かれています。
# Brewfile (中身の例)
tap "homebrew/cask-fonts"
tap "homebrew/services"
brew "git"
brew "node"
brew "zsh"
cask "google-chrome"
cask "visual-studio-code"
cask "slack"
# ...など、インストールしたものが続く
難しく見えるかもしれませんが、中身はシンプルです。
tap: 追加したリポジトリbrew: CUIツールcask: GUIアプリ
これらがリストアップされているだけですね。 dump コマンドは、この「お引越しの荷物リスト」を自動で作成してくれる、とても賢いコマンドなのです。
さあ、これでお引越しの準備(バックアップ)は完了です! 次は、新しいMacでこの Brewfile を使って環境を復元する方法を見ていきましょう。
Brewfile から環境を復元する (brew bundle install)
上記のセクションで作成した「お買い物リスト(Brewfile)」を使って、新しいMacに必要なツールやアプリを一括でインストールします。
実行する手順
お引越し先(新しいMac)での手順は、たったの3ステップです。
Brewfile を使った復元は、当然ながら「Homebrew」自体がインストールされていないと始まりません。
新しいMacのターミナルを開き、まずはHomebrewの公式サイトにあるインストールコマンドを実行して、Homebrew本体だけはインストールしておきましょう。
Brewfile を配置する「今の環境をバックアップする」セクションで作成し、バックアップしておいた Brewfile を、新しいMacの好きな場所(例えばホームディレクトリ ~/ や ~/Desktop など)にコピーして持ってきます。
USBメモリ、Google Drive、GitHubなど、手段は何でもOKです!
Brewfile を置いたディレクトリに cd コマンドで移動し、いよいよ復元のコマンドを実行します。
# Brewfile を置いた場所に移動して... (例: デスクトップの場合)
$ cd desktop
# 実行!
$ brew bundle install
実行すると、ターミナルに「Installing 〇〇…」といったログが大量に流れ始めます。
これは、Homebrewが Brewfileを上から順番に読み込み、tap を追加し、brew のツールをインストールし、cask のアプリをインストールし…という作業を全自動で行ってくれている証拠です。
数分から数十分(インストールする数によります)待つだけで、以前の環境とほぼ同じツール・アプリが揃った、見慣れた開発環境が再現されます。 コーヒーでも飲みながら、ゆっくり待つだけです。
これでお引越しは完了です! brew install を何十回も手打ちする苦労とはもうサヨナラですね。
【重要】Brewfile はどこに置くべきか?
brew bundle dump を実行し、Brewfileが作れました。
しかし、もしその Brewfile を今のMacのデスクトップや書類フォルダに置いたままにして、そのMacが壊れたり、初期化したりしたらどうなるでしょう?
そうです、せっかく作った「お引越しリスト」まで一緒に消えてしまいます。 これではバックアップになりませんよね。
Brewfile は、お引越しの「最重要書類」です。 必ず、「今使っているMacの外」に保管するようにしましょう。
保管場所として、おすすめの方法を2つ紹介します。
【推奨】GitHubで「dotfiles」として管理する
もしあなたがエンジニアや開発者(またはそれを目指す人)なら、この方法が圧倒的におすすめです。
「dotfiles(ドットファイルズ)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。 これは、.zshrc や .vimrc、.gitconfig のように、名前が .(ドット)で始まる「設定ファイル」のことを指します。
多くの開発者は、これらの設定ファイル群を「dotfiles」という名前のプロジェクトとして、GitHubで管理しています。
この「dotfiles」プロジェクトに、Brewfile も仲間入りさせてあげるのです。
GitHubで管理するメリット
最強のバックアップ: GitHubはクラウドサービスなので、あなたのMacが壊れても Brewfile は絶対に消えません。
どこからでもアクセス可能: 新しいMacで git clone するだけで、すぐに Brewfile を手元に持ってこれます。
変更履歴が残る: 「いつ、どのツールを追加したか」がすべて履歴(コミットログ)として残るため、管理がとても楽になります。
【簡単】iCloud Drive や Google Drive で管理する
「GitやGitHubはまだちょっと難しそう…」という方は、まずは簡単な方法から始めましょう。
iCloud Drive、Google Driveなどといった、あなたが普段使っているクラウドストレージサービスに Brewfile を保存するだけでもOKです。
これだけでも、Mac本体とは別の場所にバックアップが作成されるため、万が一の時も安心です。
大事なのは、brew bundle dump で作った Brewfile を、必ずPCの外(クラウド)に保管する習慣をつけること。
これで、未来のお引越し(環境移行)の準備は万全です!
まとめ:Brewfile で、未来のお引越し準備を万全に!
今回は、brew bundle を使ったHomebrew環境の「お引越し術」を解説しました。
brew bundle dump- 今の環境に何が入っているかの「お買い物リスト(
Brewfile)」を書き出す(バックアップ)
- 今の環境に何が入っているかの「お買い物リスト(
brew bundle install- その「お買い物リスト(
Brewfile)」をもとに、必要なものを一括で揃える(復元)
- その「お買い物リスト(
この2つのコマンドを覚えておくだけで、Macの買い替えやOSのクリーンインストールが、驚くほど楽になります。
最も大事なポイントは、dump で作成した Brewfile を、必ずGitHubやiCloud Driveなど、Macの外(クラウド)に保管しておくこと。
これさえ習慣にしておけば、面倒だった環境構築は「Brewfile を持ってきて brew bundle install を実行するだけ」の簡単な作業に変わります。
もう、未来の「お引越し」も怖くありませんね!



